【短編】ヒーロー
遅い……。
教室から屋上までは、数分で来れる距離やのに。
まさか!
あいつの事やから、こけてたりして?
そう思って開いた屋上の重いドア。
階段を降りると、萌子の姿が見えた。
こけてへんかったか。
てか、何しとんねん。
俺を待たすなんて、えぇ度胸しとるやんけ……
声をかけようと思った瞬間、見えた男。
声は聞こえへんけど
何か楽しそうに喋ってるし。
俺には、そんな笑顔……たまにしか見せへんくせに。