【短編】ヒーロー
は?
「何それ?」
「え? 知らなかった?
萌ちゃん、後輩から人気あるんだよー」
「ふーん……」
「あ、それと、萌ちゃん。彼氏いないって言ってたって、噂聞いたけど。
お前等……付き合ってるんだよね?」
え……?
それ萌子が言ったんか?
驚く俺を、心配そうに見つめる。
「颯?」
「さぁな」
「え? さぁなって……」
「部活頑張れよー。
じゃーな」
言葉を遮って歩き出した。
勿論、それ以上は何も言わなかった。
家に帰っても何故か落ち着かず……
机の上に置いた、カラの弁当箱を見つめた。
時計を見ると、もう3時間は経ってる。
さすがに、もう帰ってるよな?
上着を羽織り、弁当箱を持って家を出た。