【短編】ヒーロー
「今日でも委員会終わる時間に帰ってれば、雨降ってなかったのに」
「え? そなの?」
一体……どれくらい怒られてたんだろ?
横で呆れた顔で私を見る颯ちゃん。
そんな顔を見ても、つい笑みを零してしまう。
ふと見た肩が、濡れてる事に気がついた。
「あ、颯ちゃん、肩!」
私が背低いから傘斜めにしてくれてたんだ。
「ごめんね?
私に合わせてたら颯ちゃんが濡れちゃう」
颯ちゃんの持つ傘を真っ直ぐにしようと思って手が触れた瞬間、払われた手。
え……。
「別にえぇから」
そのまま歩いていくのに、ついて行った。
多分……これは、颯ちゃんの優しさかな?
それとも本気で嫌がった……?
颯ちゃんだから、絶対優しさだよね?
昔から優しかったもん。
大きくなった今は、ちょっと口が悪くなっただけだよね?
「颯ちゃんてさ……昔からヒーローみたいだよね?」
「あぁ?」