【短編】ヒーロー
言い過ぎたか?
さっきから、沈黙。
そして悲しげな萌子の表情。
やっぱり、ちゃんと言わな伝われへんのか?
“俺が彼氏やろ”って?
……そんなん言える訳ないやろ。
こいつ本間に俺の事“彼氏”って思ってへんのか?
今にも泣き出しそうな萌子を見てやっぱ言い過ぎたかと、ちょっと反省。
「お前さぁ……何でちゃんと断れへんの?」
「断った……よ?」
やっぱり首を傾げて、わかってない様子。
「お前……彼氏おらんって言ったやろ?」
ここまで言ったらわかるか?
「それ……いつ聞いてたの?」
聞いたあかんかったんか?
少し慌てる萌子を見てそう思った。
「えっ? 私……彼氏いないよ?」
「は?」
「え?」
考えてた途中で、俺に疑問を返す萌子に驚いた。
そして、同じ様にスゲー驚いてる萌子。
ま……さかなぁ?
頭を過ぎる……嫌な予感。
「お前、俺のやろ?」
「えぇ?」
なんて聞いてみた俺の予感は的中。
やっぱりな……。