S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~
「チョット、人の気持ちって分からないなと思っただけです。」

俺の言葉に、すみれさんは目を丸くした。

「えっ!?ドSで、マイペースで、ワガママで、我が道しか進まない慎ちゃんが?『人の気持ち』!?」

すみれさんは、大袈裟に驚いて見せた。
普通なら、怒鳴ってしまいそうだが、何故かすみれさんならそうはならない。

「何ですか、それ。そこまで非道じゃ無いですよ。」

俺は、飽きれた様に溜息を付く。
すみれさんは、俺には全く構わず、少し考える様に目を伏せた。

「『恋』。かしら?」

暫くの沈黙の後、ゆっくり顔を上げながらそう呟く。

「慎ちゃんが、人の気持ちを知りたいなんてオカシイじゃない?」

本気かどうか分からないが、すみれさんはいたって真剣だ。
うんうんと何度も頷いている。

すみれさんといい、柊といい、どうしても俺が安浦を気に入っている様にしたいらしい。

全く、迷惑な話だ。









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