S的？彼氏の思うコト ～平畠 慎太郎side story～
「俺がですか？」

突然の事で耳を疑う俺に、内田さんは和やかに話を続けた。

「平畠君も2年目だし、誰よりも勤勉だからね。任せてみようかと。」

俺は、あからさまに不満な表情を浮かべた。

「俺以外にもスタッフ沢山いるでしょう。」

その言葉に、内田さんは首を振った。

「今、スタッフの入れ替え激しくて、人出足りないんだよ。平畠君、頼むよぉ。」

上司の情けない声の説得に、半ば押し切られる様に俺は教育係の件を承諾した。



1週間後に入った女の子は、短大1年生の普通のコだった。



「平畠さんって、大学生ですか？」

入場ゲートの客足が落ち着いた所で、不意に話し掛けられた。

「は？」

俺は驚いて聞き返した。
聞こえていない訳では無かった。
仮にも仕事中。俺には、プライベートな話をするという感覚が無かったのだ。

「だから、大学生ですか？」

俺のそんな気持ちは全く気にしていない様に続ける。

「そうだが？」

俺は、短く答えると来客を待つ様に駐車場の方に目線を流した。

「あ、じゃあ、彼女はいるんですか？」

平然と仕事中に私語をし、更にプライベートにまで突っ込んだ質問に、俺はあいた口が塞がらなかった。
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