S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~
あの後、その子は泣き出してしまい、俺は教育係の任を解かれた。
他の社員さんが教えていたらしいが、結局長く続かず、1週間で辞めたらしい。

『選んだ俺が悪かったのかな?どのみち続かなかったんだよ』と内田さんは慰める様に言ったが、俺は名前も忘れてしまった彼女が辞めた事に、そんなに責任は感じていなかった。
もし続いていても、お客さんに多大な迷惑をかけたかもしれない。
厳しい事を言うようだが、そんな事はあってからでは遅いのだ。

その次の年も、次の年も新しいバイトが入っては辞めた。
その間も、内田さんは試金石だと言わんばかりに俺に教育係をさせた。
無論俺は、俺の思う様に厳しく育てた。

『働くのがこんなにキツイとは思わなかった。』
『もっと楽しいと思った。』
『出会いがない。』
『土日休めない。』
『元々、夏休みだけのつもりだった。』

理由は様々だが、俺は辞めたいなら辞めれば良いと思った。
何事も『やりたい』という意志は1番の原動力だからだ。

少なくとも俺は、この遊園地で働く事を誇りに思っている。
給料に見合う仕事をしようと心掛けている。
故に、軽い気持ちでバイトにくる連中に苛立ちを隠せなかったのだ。

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