ぼくのピペット
 

テレビを点けてみるが、どれもニュースや以前見たことのあるドラマの再放送ばかりだ。

手探りで探し出したリモコンでテレビを消すと、今度は天井が見えるように寝転がる。

顔に似ているシミなんて古典的なものはない、綺麗な天井。

「暇だなぁー……」

思わず口をついて出た言葉は、やはり誰からの返事もないまま壁に吸い込まれていった。


そっと目を閉じる。

聞こえてくるのは、時計が時を刻む音と外で雨が激しく降る音のみ。

それらは奇妙なリズムを作り出している。

その音を頭に刻みつけながら、私は眠りに就いた。


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