ぼくのピペット
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りょうにぃ、リョウニィ、りょう兄。
初めは誰のことかと思ったが、知り合いの顔を辿れば案外すぐにわかった。
確信ではない上に、向こうは私の携帯のデザインなんて知らないかもしれないが、私の身近でそう呼ばれそうな人は彼しかいなかった。
「上月、ちょっといい?」
翌日の放課後、帰る準備をしているところに、橋元君が声をかけてきた。
これから話しかけようと思っていた人に声をかけられた私は、
「え? えっと、何か用?」
と驚きながら言った。
橋元君の本名は橋元涼という。
しかし「涼」という名前とは正反対の人懐っこい性格を持った彼は、クラスの中心的存在でもあり、人気者でもある。
男子からの人望も厚いが、女子からは特に人気があって、クラスの女子が彼のことをかっこいいと言っているのをよく耳にする。
私は社交的なタイプではないため、ほとんど話したことがなかったが、事あるごとに目立つ存在の彼をよく知っていた。