ぼくのピペット
「えーっと……何か用、かな?」
本題を切り出そうとしない様子に痺れを切らした私は、もう一度そう言った。
すると橋元君は何かを考えるような素振りを見せ、言った。
「あのさ。昨日、ちゃんと届いた?」
まわりくどい言い方だったが、言いたいことはわかった。
携帯のことだ。
頷くと、橋元君はよかったとほっとしたような表情を見せた。
「昨日は用事があってアイツに頼んだんだけど、ごめん。驚いたよな?」
「ううん、全然。それより、なんで私の携帯ってわかったの?」
「前に、祐実といじってるのを見たんだ」