ぼくのピペット
 

「……は?」


少しだけ、身構えた。

今日初めて会話らしい会話をした、それもクラスの人気者の男子に家に誘われたのだ。

相手が相手なだけに何かされるとは思わないが、嫌な予感がした。

面倒なことになりそうな、そんな予感。





「昨日、上月の家に来たヤツいただろ?」

一瞬、意味を理解しかねたが、橋元君が「ほら、携帯届けたヤツ」と言ったことで理解した。

「ああ、あの白い子?」

「そ。アイツ、充っていうんだけどさ。昨日会った時に、上月さんのこと、すごい気に入っちゃったらしいんだ。あの後から、もう一度会いたいってうるさくって」

「へぇ」

意外だ。

昨日会った時は、何かに固執して、駄々をこねるような風には見えなかったのに。

人は見た目によらないな。


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