ぼくのピペット
母は私が幼い頃から毎日のように仕事をしている。
働き者なのだ。
いつもこうして晩ご飯を置いて行き、帰ってくるのは明け方辺りになる。
すれちがうだけの毎日。
小学生の頃は淋しいという感情を覚えていたが、中学生にもなれば、母がいないことが当たり前になっていた。
今はもう何も感じない。
こうしてメモを読んで、母が作っていかなかった日はコンビニで弁当を買ったりして一人で夕飯を済ませることが、日課になっている。
仕方ない。
母の仕事が忙しいから、仕方ない。
たとえその理由が表向きだったとしても。