ぼくのピペット
母が何人もの男と会っていることは何となく気付いているし、私たち親子がその男達から貢がれたお金で生活しているのも知っている。
母から直接聞いた訳ではないが、見たことはあった。
初めは、知らない男と話しながら車へと向かって行くところだった。
綺麗なドレスを着て、白髪混じりのスーツ姿の男と歩いていた。
その頃私は中学生になって間もなかったので、「仕事をしている」という母の言葉を信じていた。
だから人違いだと思った。