手紙




沖田は考えた。





蒼井睦月は、自分にとって何なのか。





はたしてなぜ自分はここまで睦月との文通を楽しんでいるのか。





顔も知らない。





声も知らない。





知っているのは、名前だけ。






文通という不確かな情報だけで人に惚れられるものなのか?







嫌いではない。





ならば、好きなのか?






その問いは、誰に聞くこともなく、ただ沖田の中で疑問が増すばかりだった。






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