手紙





言って睦月は走り出した。





家への道は右へ曲がるのを、今回は左へ曲がる。






走って走って、久しぶりの海だった。






「沖田さん!!!」





届くわけがないのに、返事が返ってくるわけでもないのに、そう叫んでしまった。






すっかり忘れていた沖田との手紙。






浜辺の隅のほうに、何日、いや、何か月前かに届いたであろうビンがあった。





それを拾い上げ、胸に当てる。






「ごめんなさい・・・」






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