手紙




遠くで波の音が聞こえた。






それで海に近づいたことがわかる。





別に期待なんてしていない。






きっともう睦月から手紙は来ない。






沖田は1ヶ月ほど前からそう思いながらここに来るようになった。





そうでもしないと、自分が醜く見えて仕方がない。





だが、ここへ来るということは期待している証拠。





沖田はそのことにまだ気づいていない。






「どうせ今日もないだろう・・・」






言いながら砂浜に足をつける。






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