手紙
そう言って窓から見える海を眺め、さっきまで自分があの場所にいたんだなと思い返す。
「あ、でも・・・」
髪をなびかせ、翼の方へ顔を向ける。
「放課後また行ってもいいよ?」
「え?」
「海、行きたいんだよね?」
本当は翼を思って誘ったのだろうが、まるで自分がもう1度行きたそうな笑顔だった。
季節はちょうど梅雨明けした頃だった。
海に行くのにはまだ早いが、泳ぐわけではない。
翼はあることを心に決め、その誘いに乗った。