手紙





睦月はそう頷いた後も、顔をあげることをせず、そのままうつむいた。







「好きなんじゃない?睦月が歴史に詳しいの珍しいし、修学旅行も大阪より京都を楽しみにしてるっぽいし」






妃菜は睦月と沖田の関係を知らない。






「あたし、京都に行ったら沖田さんの家から1番近い海に行きたいな」





教室から見える海を眺めて言った。






「沖田の家っていうか、屯所ね」






「とんしょ?」






「新選組が集まるところだよ。でも、何で海?せっかくだから西本願寺とか回ればいいのに。屯所跡だよ」






丁寧に教えてくれる妃菜。








だが、睦月は「ううん」と首を横に振った。





「海がいい」






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