手紙
沖田はなんともいえない切なすぎる表情を浮かべ、海を後にしようとした。
が、その足が何かを求めて止まる。
普段は気にしていない、あの大きな岩の方に黒目だけを動かす。
そしてそのまま方向を変え、前進した。
睦月が1度だけ訪れたこの海。
何も伝えていなかったにも関わらず、睦月はこの手紙を持ち帰った。
沖田は再びこの間砂に埋めたビンを地上に出した。
太陽に反射し、キラリと光るそのビン。
「このビンを、今睦月は持っている・・・・」
そう考えると不思議だった。