手紙
第十章

___27





朝、登校中に海へ寄る。




波が押し寄せ、そしてまた引き返す。




睦月は濡れる一歩前に立ち止まり、届いたばかりの沖田からの手紙を読んでいた。






いや、もう何度もその場で読み返している。






自分の瞳から、自然と涙がこぼれていることも知らずに。





「沖田・・・さん・・・・」





そう呟いて初めて、自分の声が震えていることに気が付いた。






泣いてる・・・・






堪えようとするも、あふれる涙は止まらない。






「沖田さん、沖田さん、沖田さん・・・・」






何度名前を呼ぶも、返事のない海に、苛立ちさえ感じる。






< 241 / 432 >

この作品をシェア

pagetop