手紙
どうやら男のアドレスをあさっているようだ。
「ひ、妃菜!?」
「だって、現実見よう?いくら両想いでも何も変わらないんだよ?」
「そうだけど・・・」
「だからほら、手紙も全部処分しちゃおっ」
そう言ってケータイ片手に机に重ねられている沖田からの手紙を持ち上げた。
「や、やめて!!」
慌ててゴミ箱に入るのを阻止しようと、妃菜に飛び掛かる。
その拍子に散らばる手紙。
「む、睦月・・・・?」
「ごめん。文通はもうやめるから・・・でも、捨てなくてもいいよね?ちゃんと現実見るから。この手紙は思い出にするから。お願い・・・」
必死というか、不安というか、そんな複雑な表情を浮かべる睦月に、妃菜はさすがに捨てることはできなかった。