手紙
家に帰り、睦月は早速ルーズリーフとペンをだし、そう書いた。
そして丁寧に四つ折りにし、小さな箱に入れた。
これで何枚目なのだろうか。
あの日から、結局睦月は沖田を思うことをやめられなかった。
毎日とまではいかないが、沖田に伝えたいことがあればすぐに手紙に書き留め、だが海に流すことはない。
未送信ボックスのように、箱に詰めていった。
通学中、毎日通る海だが、砂浜にまで足を踏み入れることはなくなった。
もう、諦める。
そう決めたから。
でも、こんなことしている時点で諦めきれていないということなんてわかっている。
自分が何をしたいのか分からない。
睦月はこれからのことを時間に任せていた。