手紙
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「睦月、結局どうするの?」
「へー?」
新しく買い換えたリビングのソファ。
前より1段と大きくなり、ふかふか度がかなり増している。
睦月はそのソファの端に体重をかけ、足を伸ばして座るのが好きだった。
さっきまで皿洗いをしていたお母さんが、エプロンで手を拭きながら睦月の元にやってきた。
「あんたねぇ、「へー?」じゃないわよ。大学よ大学。もうそろそろ決めないと!っていうか、もうすでに手遅れなんじゃないの?推薦とかだったら間に合わないでしょ」
「あぁ・・・大学ね・・・」
睦月のやる気のなさに、お母さんはため息交じりに話す。
「もう。あんたの将来でしょ?ちゃんと考えなさいよ。それで、どこにするの?美咲みたいに東京に行くの?それだったらそれでもいいけどね、お金の問題とかあるからちゃんとパンフレットとか見せなさいよ」
「大丈夫。東京には行かないから」