手紙
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いつも聞こえていた波の音だが、近くではこんなにも大きかったっけ、と1年前の記憶が蘇る。
少し気温が下がり、肌寒くなるこの感じも懐かしく思える自分が腹立たしい。
沖田はきっと今、苦しんでいる。
結核がどのような病気かは知らないが、そのくらいわかる。
会いたい。
命を助けるのは無理だけど、沖田さんだって、睦月に会うことを望んでいる。
せめて最期に、沖田さんの1番望むことをしてあげたい。
それに、なにしろ睦月自身も会いたいのだ。
「沖田さん・・・・会いたいよ」
切ない睦月の声は、波の音にかき消される。