手紙
「沖田さんのとこに連れてってくれるんですか!?」
満面の笑みでそう言う睦月に、斎藤は不覚にもドキっとした。
「・・・・っまだ分からん。1度副長に会わせる必要がある」
斎藤は睦月から目を逸らし、そう答える。
睦月はそれに大きく一礼した。
「ありがとうございます!」
そして、隣に並ぶ。
斎藤自身、自分の判断に驚いた。
本当はもっと警戒すべきなのだが、もしこいつが本当に蒼井睦月なら、総司だって会いたいはず。
こんな簡単にそれを許してしまうほど、斎藤にとって今の沖田には、優しくしてしまうのだった。
もう、そう長くはないから。
せめて最後に、最後は笑って欲しかった。
自分にできることなら、なんでもしてあげたかった。
斎藤は睦月を連れて、屯所へ戻った。