手紙
「蒼井睦月様、だって」
「ふふふ」と照れたような笑いを見せ、ゆっくりと沖田の文字を読んでいく。
内容からして、本当に睦月の手紙が届いていたようだ。
海で1度読んだはずなのに、その時は頭に全く入っていなかったらしく、ここで再び読んで顔を曇らせた。
「・・・・信じてない?」
刺々しい単語は、睦月の胸を締め付けた。
そして読んでいくうちに頭に「?」の文字が浮かぶ。
「なんだこの漢字。え・・び・・・?違う。えぞ?」
見慣れない漢字。
だが睦月は、その漢字をしっかり読めていた。
「またお姉ちゃんに聞くか」
現在の時刻は6時半。
いつも夕食は7時だ。
「その時にでも聞こう」と、睦月はペンを置いた。