手紙
そして特別何をすることもなく、夕飯までの30分をダラダラと過ごし、1階からいつものごとくお母さんの叫び声が聞こえた。
「睦月ーご飯よー」
「はーい」
間延びた返事で返し、よっこらせとベッドに倒していた体を起こす。
「あ、カレー」
鼻をつくいい匂いに、くんくんと犬のように空気を吸う。
「今日はカレー?」
扉を開け、とりあえず顔だけ出して見せる。
「そうよ、早くご飯つぎなさい」
「はーい」
大好きなカレーのおかげか、少し体を跳ねさせながら自分の分のご飯をついだ。
蒼井家は、「自分の分は自分でつぐ」という決まりがあるのだ。