手紙
「わかってるって」
結局自分が怒られるハメになった睦月は、口を軽く膨らませながらも、カレーを食べ始めた。
そして、これ以上怒られないためにもすぐに話題を変える。
「ねぇお姉ちゃん、江戸時代ってさ、北海道ってなかったの?」
「は?何言ってんの?」
「北海道だよ!江戸時代になかったの?」
睦月の発言に、美咲はため息をつきながら答える。
「江戸時代は、むかし北海道のことを蝦夷地って呼んでたの。北海道ってなったのは明治から」
「蝦夷!?やっぱり蝦夷なんだ!」
繋がった!
睦月は心の中で叫んだ。
「最近どうしたの?睦月歴史に興味あるの?」
お母さんの嬉しそうな表情に、スプーンをくわえたまま「へへっ」と笑った。