手紙
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~6年後~
穏やかな日差しが差し込む。
「睦月さんっ今度の社員旅行、京都らしいですよ」
「え?そうなの?」
「行きますよね」
職場の後輩の藤野七海が親しげに睦月へ駆け寄る。
大学卒業後は一般企業へ就職、仕事にも慣れ、順調でいわゆる人並みの生活を送っていた。
だけど、未だ彼氏を作る気にはなれなかった。
沖田の存在が、睦月の心を支配する。
「京都か~。修学旅行ぶりかな」
そう言いつつも、睦月の中で京都に行ったのは、あの日が最後になっていた。