手紙



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「結局書いちゃったよ......」




あれから早速海に来た沖田が、ビンを傾けたり、底を覗いたりしながらそう言った。





「どうせもう来ないよ・・・」




言いながらビンから手を放すが、どこかでまた返事が来るのを期待している自分がいた。





ビンは波にさらわれるように、だがゆっくりと沖の方へ流れていっているのがわかる。





確かに流れてる。




波に流され、戻ってきたビンを「蒼井睦月」が拾って、返事を書いていると思ったが、戻ってくる気配は全く見せない。






このビンは本当に時空を超えて、未来に行ってしまうのだろうか。




蒼井睦月の元へ・・・





「いや、ありえない」




沖田はそう言い捨てて、海に背を向けた。




だが流したビンが気になって、再び振り返ってしまう。




しかし、すでにビンは見えなくなっていた。




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