手紙
もちろんそんな沖田にカチンとくるのだが、沖田より年上ということで、大人な自分を見せようと思ったのか、あえて何も言わなかった。
「やはり手紙届いてたのか」
ニヤニヤしながら沖田の隣に腰を下ろし、睦月からの手紙をのぞき込む土方に、沖田は「近い」の一言で自分から土方を引き離した。
そして何も言わず、ぼんやりとあらぬ方向を眺めた。
そんな沖田を見て、土方は自分の隊服の裾についていた埃を払いながら、ゆっくりと口を開いた。
「そろそろ信じてやれよ」
ただ顔だけしかめる沖田。
「お前もそろそろわかっているはずだ。だってここまで正確に蝦夷から手紙が流れてくるわけねぇもんな。気づいてた?お前が手紙を流してきっちり1週間で返事が来るの」
なぜか誇らしげな表情をしてみせる土方に、沖田は余計に顔をしかめた。