手紙





そこで沖田が口を開いた。





「もう行きましょうよ」






「うっだがしかし・・・・・」





近藤は唇を噛み、にがい顔をしてみせた。





だが沖田は澄ました顔で池田屋を見つめる。






蒼井睦月が言っていた池田屋事件。





今ここで始まろうとしているのだ。




まるで自分が犬になって、餌を目の前に置かれたまま「待て」をされている気分だった。





早く、早くと沖田の血が騒ぐ。






そして、ようやく近藤の口から期待の言葉が出た。





< 73 / 432 >

この作品をシェア

pagetop