手紙
睦月は海の向こうを見つめ、微笑んだ。
「沖田さん……」
沖田を思って浮かべた笑みは、誰よりも優しく、温かかった。
太陽が海に沈む。
「キレイ……」
小学生以来に目にするこの瞬間。
なぜか、凄く美しく見えた。
睦月は何も考えず、太陽が沈みきるのを静かに待った。
波の音と、風の音が交差する。
「………待ってて下さい。すぐに返事を書きますね」
睦月の声は海を渡り、だが、沖田の耳に届くことは決してなかった。