ドロップ-記憶-
「『ハル』!」
気が付くと、そこはやっぱり病室。
『ハル』って、誰なんだろう…。
「沙由、元気してる?」
れーちゃんが病室に入ってきた。
「ねぇ、れーちゃん…。私、どんな事故にあったの?」
私がそう言うと、れーちゃんは少し困った顔をした。
「沙由、よく聞いて。沙由はね交通事故にあって少しだけ記憶を無くしたの」
「記憶を…?」
「うん。幼い頃の記憶と…大切な人の記憶」
大切な人の記憶…。
私の大切な人とは、親なのだろうか。
それとも……『ハル』なのだろうか。