ドロップ-記憶-
「千歳さーん。春斗さーん。見ちゃいましたよ撮っちゃいましたよ」
そこには、ドヤ顔の春西がいた。
「「シュンセー!」」
「あははは、あは」
いつまでドヤ顔してんのよ!
「はい、仕方ないから飴やるよ」
そう言って、春西は私たちに飴を投げてきた。
開けてみなきゃ分からない、飴の色。
舐めてみなきゃ分からない、飴の味。
でも、私とハルの色はきっと誰にも分からない。
きっと誰にも見えない。
二人の味も、きっと誰にも分からない。
きっと誰にも見えない。
だって、二人だけの色なんだから。
二人だけの、味なんだから……。
-fin-