鶴のヒトコエ!
髪をセットし終えた筒井は、2年4組へ向かった。
二日前から新学期がはじまり、すぐに筒井とその取り巻きたちが、2階の一番奥にあるこの教室の最高権力になった。
担任の飯田直子は初日のホームルームで転校生を紹介しただけで、早くも筒井を恐れて放課後の教室掃除にしか顔を出さなくなっていた。
前は口元、うしろは肩まで伸びた赤茶色く揺れる髪の奥、筒井の瞳は全てを睨み殺しそうなくらいに鋭い。
大半のクラスメートがひたすら筒井とは目を合わせまいとしていた。