知らない夜
私の
高熱をだして眠っていた私を、父の優しい手がさすっておこす。
リビングに連れて行かれ、正座をさせられた。
風邪薬でも飲ませてくれるかな。
なんて、思ったら違ったらしい。
目の前に今月の携帯料金の明細を出された。
私の携帯料金が22.319円。あれ、たしか先月は7.000円くらいだったはず。
ああ、ちょっと仲のいい男の子が出来て夜中に電話したからだ。
そんなに話した記憶なんてないけれど、楽しい時間っていうのはすぐに過ぎてくんだね。
こういうもんだね。
まだ小学生の弟が私を哀れむような目で見ている。
一通り父から叱責を受けたが、私は38.5℃という高熱を出していた為に支離滅裂な言葉しか口に出せなかった。
それが父の勘に障ったのだろう。頭を冷やせ、と理不尽にも私は中秋の夜空へと投げだれる。