知らない夜
22時に外にいたことなんてないし。携帯も財布もなにもないけれど、もう中学生なわけだし、社会を知るのもいいだろう。

ふらふらと私は夜をさまよい始める。
家の近くの川沿いに出てみる。
このまま進めば私の通う中学校が見えるから。
味わったことのない夜の冷たさがなんだか怖くて、見慣れた建物をみればなんだか安心出来る気がした。
河川敷には街灯なんて建っていなくて、ひどく暗い。時折、前からやってくる自転車のライトと、リードに繋がれた犬の首輪が赤く点滅しているのが目立つ。
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