see you again
第一章

ふたり

高層ビルが立ち並ぶ都会の一角にあるとあるバー
ここに毎日のように足を運ぶ一人の少女がいた。


──カランッ



店の扉が開いて片手に学制カバンと紙袋を持って、肩にギターを担いだ制服姿の女の子が立っていた──


「おいおい…いくら何でもその格好はまずいだろ?」


女の子はカウンターに座ってアイスココアをオーダーした。

「いいじゃん、まだ開店前なんだし!それにちゃーんと着替え持ってきてますよぉ」


紙袋を掲げて舌をべーと出して言う彼女──…娃弥(アミ)に、苦笑しながらこの店のオーナーであるおじさんはカウンターにココアを置いた。

ありがとう、と言って娃弥はココアを一口飲んだ




店を訪れてから数十分がたったころ


「そろそろ開店するぞー」
と言うおじさんの声で娃弥は店の奥へ入っていった。





店内が客で少し賑やかになった頃、ギターを持ち私服に着替えた娃弥がステージに立った。



深呼吸をしてマイクのスイッチをいれた。


「皆さんこんばんは。」



それだけ言って娃弥は歌い始めた





私には歌しかない…

此処はおじさんが私にくれた



唯一の居場所──




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