see you again


手の怪我がすっかり治ったころ、私はおじさんに会いに行った。


お店のドアをゆっくり開けて中に入った。

足元に落としていた視線を上に上げると、驚いた顔のおじさんが見えた。


「娃弥。もう大丈夫なのか?」

ひどく心配そうな声だった。


ホントはまだあんまり大丈夫!って言いきれる情態じゃないんだ。

聞いてほしいことがたくさんある。


でも、そんなおじさん見たら


大丈夫だよ!
心配かけてごめんね。


って言ってあげたくなる。


ひとつ呼吸を置いて私は笑顔を作った。

「大丈夫。」

うまく笑えてるかなんてわかんない。

もしかしたら、すごく引きつってるかもしれない。

でも、これが今の私の精一杯の笑顔なんだ。


そう…この時もおじさんは

心配そうな顔で笑ってた──。

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