see you again
最後の舞台と新たな旅立ち
一ヶ月なんてあっという間に過ぎていく。
気がつけばもう私の最後のライブまで、あと4日になっていた。
もうこれ以上病気のことを隠すわけにはいかない。
「…ねぇ倫汰くん。私ちゃんとみんなに言おうと思うの」
「うん。娃弥ちゃんがちゃんと自分で決めたんなら、それがいいと思うよ」
そうだよ。
誰が決めたんでもない。
私が自分で決めたこと。
その日の夜にみんなが集まってくれた。
朋果ちゃん、亮くん、倫汰くん。翠ちゃんに潤くん。
「私、みんなに言わなきゃいけないことがあるの」
すべてを話す覚悟は出来てる。
「私。喉の病気なの、…だから……今度のライブで、歌うの辞めるんだ」
みんなの顔から表情が消えた。
「嘘、でしょ??」
朋果ちゃんの問いかけに私は黙って首を横に振った。
嘘じゃないんだよ。
嘘だったらどんなにいいだろう。
でも私は決めたの。
もう嘘だったらいいのになんて思わないことにするって。
いつまでも現実から逃げてちゃダメだって。
じゃなきゃ私は本当に歌えなくなっちゃうから…。