see you again
忘れもしない…


それは私が歌い始めて約一年、小学4年の頃

その日も私は施設を抜け出していた。
辿り着いたのは施設から徒歩7分ほどの川沿いの土手。


自分の体に対しては少し大きいくらいのギターを担いで来たので、少し息があがっていた。



ギターを置いて土手に寝転んでボーっとしていると、不意に声をかけられた

「ねぇ、いつも此処で歌ってるよね?」


同い年くらいの可愛らしい女の子、

「…うん、友達いないから……」


「じゃあ友達になろ?」


あの頃の私には、信じられない言葉だった。




友達…?

この子が私の友達になってくれるの?



その子の持っていたカバンに名前が書いてあった。

“植草 真樹”


真樹ちゃん……。



「私の、友達になってくれるの?」

私が言うと真樹ちゃんはニッコリ笑って


「もちろん!」
と言った。


初めて友達が出来た日……


私はただ、


嬉しくて、うれしくて



ただ、それだけだった──…






 



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