see you again
「…だ……ダ、メ…ッ」


「娃弥ちゃん喋っちゃダメだよ」

全てを知っているからこそ一番心配してくれて

そして誰よりも動揺している倫汰くんの声は冷静を装っているが震えていた。



5分もしない間に救急車が到着してタンカを担いだ人が入ってきた。


「……いや…ダ…メ、………嫌あぁぁぁ───」

プツリと私のなかで何かが切れた。

絶えられないほどの痛みに私は意識を手放した。










「…ん、」

目を覚まして最初に目に入ってきた真っ白な天井…


あぁ此処は病院なんだ。

ズキズキと熱くて心臓のように鼓動する喉の痛みに安心している自分がいた。


生きている…

まだ、生きている。


口を少し開けて空気を流し込んでみる


空気に触れただけでよりいっそう熱を持ち痛みを増す喉…




声が出ない。
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