see you again
「家はどこにある?」

「…この近くの、児童養護施設……」


俯いたまま呟くようにそう言った。


「施設か…抜け出してきたのか?」


おじさんの問いに私は静かに頷いた。

お店の中を見渡すと小さなステージに目が止まった。


小さいけれど、そこだけ別世界のような気がした。

スポットライトに照らされたそのステージに私は釘付けになった。


「あがってみたいか?」

ステージを見ていた私におじさんがいった

私は頭を左右に何度も振った。




「帰ります………、また、来てもいいですか?」


「もちろん。いつでもおいで」

おそるおそる聞いた私におじさんは笑顔で答えてくれた。
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