夜の海、盲目
夜の海って、果てしなく暗い。空が暗いなら海も暗いもの。

でも光さえ与えれば、昼とは違う美しさで私を魅了する。

だからこの恋心を、貴方の笑顔を、夜の海に例える。

「盲目。」

「ん?何か言った?」

「フフ、いいえ何も言ってないわ。」

「魅歩は時々、俺に隠し事するよね。」

「えぇ?貴方に隠していることなんて山ほどあるわ。第一に、隠し事を話す仲じゃないじゃない?」

貴方がたまに見せる、歴史が動いた瞬間を見たような驚いた顔…たまらない。

「そう、そうだね。俺達はずっとそんな仲じゃないね。」

チクリ。


もう、やっぱり鈍感。
< 12 / 22 >

この作品をシェア

pagetop