【企画】冬のある日の物語
ベッドに寝っころがる唯斗の目がこれでもかと言いたくなるほど見開かれる


「…雪、亞…?」


「…っ唯斗ぉ…」


思わず、私は…唯斗を抱き締めた


「…会い、たかったっ…よぉ」


意志とは反対に涙が溢れる


…唯斗にはちゃんとした普通の顔を見てほしかったのに…


「…雪亞?…本当に雪亞か?」


「うんっ…うんっ」


そう言った唯斗は一瞬悲しそうな顔をして…


「…出ていけ」


冷たく、そう言い放った


「…ど、して…?」


「お前にいられると、すっげぇ迷惑なんだよ」


「…意味、わかんな…」




























「…お前がいたって、俺の病気は治らねぇんだ。なら、最期くらいゆっくり過ごさせてくれよ」


























…最期…?


じゃ、唯斗は…


末期患者…?


それなら、尚更


「…無理。唯斗が何と言おうと、私は唯斗から離れない。覚悟しろ、アホぉ」


最後は半分やけくそに叫んでやった


私は離れてやんないんだから…


これが、12月18日のことだった…










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