【企画】冬のある日の物語
「やだやだやだっ!ねぇ、唯斗!唯斗!起きてよ!やだ、私を置いてかないで…。ねぇ、唯斗ぉ」


やだ…


やだよ…


若すぎるよ、唯斗…


愛してるって言って死ぬなんて


ズルいじゃん


馬鹿


馬鹿


馬鹿


私を置いてかないでよ


ねぇ、唯斗…


「…雪亞ちゃ…っ!?」


バタンッ


そこで私は…意識を手放した


────────────
──────────


「──んんっ」


ガバッ


「唯斗っ」


目が覚めてからの第一声は、それだった


「…雪亞ちゃん…」


唯華さんが悲しそうな目で見つめてくる


分かってる


分かってるんだ


あれが夢じゃないことくらい


唯斗が…死んだってことくらい


「…雪、降ってるわね…」


雪…


前までは好きだった


けど


今は大嫌い


私の大切な唯斗をもっていっちゃったから


「…雪って…神秘的よね…。雨でも、雪でも…中身は一緒なのに、雨は疎まれて、雪は逆に喜ばれる。雪って…ふわふわしてて…どこか特別な感じだからかしら…?クスッ雪亞ちゃんみたいね」


「…え?」










< 19 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop