【企画】冬のある日の物語
一言で癌と言っても軽いものかもしれない


もしかしたら治るものもあるのかもしれない


そう考えると、いくらか心が軽くなる


リハビリできるようになったら、唯斗に一番に会いに行こう


そして驚かせるんだ


動けるようになったよって


歩けるようになったよって


唯斗、明日来てくれるかなぁ


これは12月05日のことだった


この日のことは絶対に忘れない


この日は私の新たな決心の日だから


────────────


──────────


あの日から、唯斗はこなかった


「…会いたいよ」


早く会いたい


「…淋しい」


ガラッ


病室のドアが開いて、パッと顔をあげる


「こんにちは、雪亞ちゃん」


…唯斗かと思ったのにな


「今日からリハビリしてみない?」


「…え?いいんですか?」


「うん。先生がね、そろそろいいんじゃないかっておっしゃったの。どう?」


「やりますっ」


これで、唯斗に会える!


「…じゃぁ、あのドアまでまず歩いてみましょう」










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