【企画】冬のある日の物語
それからは毎日毎日時間が空けば必ずリハビリをするようにした


少し歩いただけで体力を消耗し、夜もぐっすり寝ることができた


…もしかしたら、体調的には入院前よりもいいかも知れないと思うほどにまで


「雪亞ちゃん。あなたの回復力にはとても驚かされるわ。凄いわねぇ」


担当の先生にもそういうお言葉を頂くくらい、私は著しい回復を遂げていた


…そんな、ある日


「…え…?」


今さらだけど、私…


入院前と差程変わらず歩けてる…


たしかに、まだ少し昔に比べれば体力の消耗が早いかも、だけど…


これなら…


思い立ったらすぐ行動がモットーの私はすぐに唯斗の病室に行くことにした


唯斗の病室なんて、私は知らなくて、先生に聞いて行った


走りたいけど…まだそこまでは回復してないんだよね…


ってか、歩けるって言っても松葉杖がないとまだ無理だし


「…あ、ここだ」


病室の前には、“1128 如月 唯斗”というネームプレートがあった


全然会ってなかったからなのか、物凄く緊張する


「すぅ…はぁ」


大きな深呼吸を一つして、扉をノックした


「…はい」


久しく聞いてなかった声が聞こえる


「…唯、斗」


そう言ってドアを開けた…










< 9 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop