君と僕の放課後
「私もね、ここにはお世話になったの」
咲良がお客様を見ながら小さな声で言った。
「咲良が?」
僕が言うと咲良は「徠には無縁の悩みが私にはあったの」と舌を出しながら言った。
僕はそんな咲良を抱きしめたくなった。
「咲良ってさ、好きな人いんの?」
「なんで?」
「なんとなく」
僕の問いに咲良は「んー」と言いながら答えた。
「好きな人がいないと言えば嘘になる」
「...へぇ‥」
「でも‥その人は私には興味ないと思うの。話してくれても目を合わせてはくれない」
「そうなんだ..」
なんだか僕は聞かなければよかったと後悔をした。